巣立ち... [家族]
暖かく薄曇りの一日
今日は娘の写真撮影で 厚木へ行ってきた
卒業はしたが 時節柄 袴ではなかったためだ
憧れの袴姿が 嬉しくもあり 誇らしげでもあった
本人も けじめがついただろう
これで晴れて 社会人になる
厚木にはSONYの工場がある
入口付近は見事な桜並木で 良い日に写真が撮れた
この工場の先に 美味いイチゴ大福を売る店がある
お祝い返しは 赤飯とその大福にした
やれやれ これでお役御免だ
長かったし 金も無くなったよ
まぁ 天下の回り物だから 働きゃ良いんだけどさ
音大は本当に 金食い虫だよ
倅などその半分にも 満たなかったな
もっとも 出来た倅で 殆ど自分の稼ぎで 大学を出たようなものだけどさ
まぁいいや たった二人しかいない子供だからな
自分で言うのもなんだけど 二人とも結構美形なんだ
男は顔なんて どうでも良いんだけど やっぱりね
正義感も人一倍なんで 結構もてたみたいだ
娘は親馬鹿で笑われちゃうけど よく芸能人かと間違えられるよ
もの凄く可愛い顔してる 優しい性格で大人しいほうだ
でもスポーツは万能で 高校でも学年一の体育能力だった
欠点は人の悩みを自分が 背負っちゃうことで 随分苦しんでいた
そんなこんだで ずっと女子には苛められてきたよ いつも可哀想だった
実は大学を卒業して就職したんだ 僅かだけどね
そこは大手百貨店だった そこでも 同じ境遇だったらしい
大した化粧もしてないのに 何故か目立っちゃう...
男の俺には分からないけど 女の世界は複雑怪奇で嫌だな
でもいつまでもそんなじゃ困るから 遅かったけど背中押したのさ
そしてやっと どんぴしゃりの職場を得たんだ
まずそこなら安心だ...と馬鹿親は思ってる
二人とも 俺達夫婦には自慢の子供だよ
無事に 巣立ってくれればいいさ
何にも望まないよ
とにかく極々普通の人生を送ってくれたら...それだけだ