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人生下り坂最高 ... [自然]

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山登りの相棒K君からLINEが入った。
「どこか登りましょうよ」。
K君は花の独身。
山以外にもゴルフだ海だとなかなかのアスリートぶり。
お姉さん達との交遊もお盛んだ。
健康的行動と裏腹の自堕落のせいかちょっとメタボ体型になっている。
もっとも人のことを言える自分でもないが。

西丹沢は先日のヒル攻撃で寒くなるまで遠慮しておく。
さりとて箱根外輪山や大山はさすがに飽きた。
誇張でなく真っ暗闇でも歩けてしまうだろう。
そんなわけで目的地を御坂山塊と決めた。
十二ケ岳や毛無山方面は登っているが縦走は未経験だった。
日帰りの場合遅くとも15時には帰宅したい自分には中途半端な距離だ。
でも登る山が見当たらないから仕方が無い。

西湖湖畔から登り始めて「王岳」を目指す。
初見の山なので様子が分からない。
しばらく整備された林道を歩く。
崩落が数カ所有り、小さな岩が林道に散らばっていた。
15分ほど進むとやっと「王岳」登山口に到着する。
緩やかな登山道を進む。
入り口までの林道の方がきつく感じた。
20分も経過した頃からじわっと汗が出る。
さぁここからが本番だ。足の運びはいつも通り快調そのもの。
振り返ってもK君の姿は見えず。
K君は独り身が手伝ってあちこちの高山を歩いている。
だから山についての知識は豊富で全く心配していない。
二人で行動するときは余程の高グレードの山以外ほぼ単独登山と同じである。
若い女性だけのグループに追いつく。
身支度からしてほぼ初心者のようで地元の仲良しグループだと云う。
この日が楽しかったら全員が山を始めるそうだ。

それにしても長い距離を歩いている。
急登が少ない代わりに距離が長いようだ。
山頂近くにやって来ると笹の群生が始まった。
狭い登山道の左右から笹が伸び放題で閉口した。
ましてや左側は崖地である。
反発の強い笹に身体を押されたら危険この上ない。
笹の群生はほぼ山頂まで続いていた。
やっと「王岳」に登頂する。
他の山と同様コースタイムの8掛で登り切った。
富士山は雲に覆われ頭だけを出していた。
単独の年配女性が休憩していた。
近くに住む女性で富士山周辺はほとんど登っているらしい。
しばらく話し込んでいるとK君が姿を現した。
「一体何歳なのですか。どこかおかしいんじゃないか」と口を尖らせる。
コースタイムでの登頂が当たり前のK君には自分が異常に感じているのだ。
一回り以上年の差がある年寄りに先を行かれる悔しさもあるのだろう。
「まぁ良いじゃねぇか。アルプスじゃ何度か負けているのだからさ」と慰めた。
そう言えば先日の「両神山」でも打っ千切ってやったっけ。
この日は初見の山でもありピストンで終わる予定でいたのだが、如何せん時刻が早すぎる。
「ここで引き返して良いよ。俺は周回してみるよ」とK君に伝える。
口を尖らせ「行きますよ。僕だって」とK君が答える。
10分ほどの休憩後、先に進むことになった。
次の経由地は「鍵掛峠」という分岐だ。
小さなアップダウンを繰り返しながら峠に到着する。
ここから駐車場まで下る道がある。
K君は疲労困憊の体。
「ここから下りなよ」と告げる。
「冗談じゃないですよ!行きますよ!」とまた口を尖らせた。

次のピーク「鬼ケ岳」まではロープがあったり岩登りがあったりと心が躍る。
ガスが濃くなってきた。
山頂に到着しても展望は全くない。
山名に相応しく角岩が突き出していた。
ガスがなければ遠く南アルプスや金峰山と瑞牆山の秩父山系も見えていたはずだ。
ここで昼食にする。
途中のコンビニで買ったナポリタンを口に入れる。
冷たくて不味い。
3口ほどで蓋を閉じた。失敗だった。
前の晩に凍らせておいた水が最高に美味かった。
どこの山行でもあまり食事というか行動食をとらない。
当然用意はしているのだが腹が減らないので困る。
これで何度失敗を繰り返したことか。
20分ほどの休憩後下山の準備を整え分岐へ進む。
10分ほどの短い距離にこの日最後のピーク「雪頭ケ岳」へ到着する。
ピークなどあるのかないのか分からないほど狭小だ。
手書きらしい山名看板がなければ通り過ぎてしまうだろう。
先を進むと梯子が出現する。
この辺りはちょっとした岩稜帯である。
雲が流れ出し青空も広がりだした。
富士山が姿を現してくれた。
でかい!やはり日本一の山である。
線状の残雪も絵のようで美しい。
我が家から見える姿とは異なり宝永山は見えない。
左右ともスッキリとしたすり鉢だ。
「子抱き冨士」として有名な大室山もくっきりと見えている。
これが正面なら富士山の真ん中に大室山が填まるのだが。
この先も山塊は続いているのだが時計の針は14時に近い。
満足し下山を開始する。

しばらくは岩の斜面を下って行く。
3分の1程を下ったところで丁度14時だ。
3名の若い男女が登ってきた。
こんな山にこの時間かと訝しさより呆れた。
間違いなく下山時は暗闇になるだろう。
道迷いの遭難が減らない訳である。
岩稜が終わり通常の山道になった。
ここからはいつもの通り走り下りる。
樹林帯に入ると既に夕方のように暗い。
先ほどすれ違った3名を心配する。
行程の半分ほどを過ぎた辺りでK君を待つことに。
しかし15分ほど待ってはみても姿を現さない。
まずい。道に迷ったか。スマホは通じない。
下ろしたザックを背負い直し、登り返し始めた。
大きな声でK君の名前を叫ぶ。
「ハーイ」と返事が聞こえる。
あぁ良かった。無事だった。
「後ろ姿はトレランですよ。馬鹿じゃないですか」
「うるせーよ!心配させやがって」と軽口で返す。
「登山口までこのまま行くよ」と走り出す。
「堰堤広場」に到着する。
ホッとため息をつく。

結構ハードな行程だったが怪我もなく無事に下山することが出来た。
愛車に戻り山塊を振り返る。
高い長い深い。
よく登ってきたなとまた安堵の溜息をついた。
山登りは人生に例えられることが多い。
確かに縮図と言えばその通りかもしれない。
多くの人が人生を振り返る場所かもしれない。
山の神に感謝だ。

生きることの全てを 背負いながら坂道を辿る
それぞれの抱く 自分だけの峠を目指す
いつか叶う筈の世界へ
雲を抜けて 君の夢に手が届く
君は空になる らららら...

「空になる」
          作詞・作曲・歌唱 さだまさしから引用 


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