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預かりものを天に返した ... [動物]

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温かな朝だった。
変異したコロナが、再び社会を暗い洞窟に押し込まないことを願うばかりだ。
今朝は月に1回の内科検診日だった。
早めに自宅を出て、ダックスと歩いた散歩道をなぞった。
地下道を潜る。坂の途中で、いつも抱き上げていたっけ。
後ろ足がもつれるダックスは坂が苦手だった。
手入れされていない歩道脇の草むらでいつも匂いを嗅いでいた。
何気ない風景の全てにダックスが重なる。
愛おしくて堪らない。

ダックスの残したあれこれを片付け始める。
フード、歯磨き、オムツ、シャツ、セーター、ケージ、ベッド、タオル...
驚くほどの量になった。
全てがダックスの生きていた証だ。
亡骸を愛車に乗せて帰宅した日にペットカートが届いた。
このカートは月初めに届いていたのだが、
安全ネットに不具合があり交換したものだ。
歩けなくなったダックスに何とか外の匂いを嗅がせてやりたいと購入した乳母車だった。
今更に想えば、「もうボクは無理だよ。だからお父さん。気にしなくても良いよ」と
言っていたのかも知れない。
荼毘に付す最後の日、真っ新なカートに亡骸を乗せて自宅周りを押し歩いた。
本当に本当に自分と過ごす最後の動物になってしまった。

たった今、ずっと世話になってきた美容室から花束が届く。
思ってもいなかった人の優しさが深く心に染みる。
もう泣くまいと決めていた心が歪む。
止めどもなく涙がこぼれる。
満身創痍で捨てられ、苦しい生涯だったことだろう。
家族に迎え入れたときから、天からの預かりものだと考えていた。
ダックスにも我が家族にもきっと天が試練を与えたのだろう。
12月10日午前10時。
ダックスを天に返した。
「リバー。8年間本当に楽しかった。ありがとうそしてさようなら」。

「今日の歌」
野に咲く花のように 風に吹かれて
野に咲く花のように 人を爽やかにして

そんな風に 僕たちも
生きてゆけたら すばらしい
時には 暗い人生も
トンネルぬければ 夏の海
そんな時こそ 野の花の
けなげな心を 知るのです。

ルルルル...

「野に咲く花のように」から引用
作詞 杉山政美
作曲 小林亜星
歌唱 ダ・カーポ

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